「技術では差がつかない」

「技術では差がつかない」

料理業に限らず、あらゆる業種に言えることですが、
プロの職人から見れば違いはよくわかることがあります。

しかし、お客様には、わかりにくい技術の差を説明するより、お客様が求めるものを的確に提供する方が喜ばれます。
つまりお客様にとっては、自分がどれだけ心地よいか、同席した相手に喜んでもらえる様な空間や接客サービスの方が気になるということです。
料理が美味しいのはもちろんですが、究極の味を求めてお店を選ぶわけではありません。

またどのお客様にも同じサービスをしていてはロスが生じます。
そのお客様がほしいものを、してほしいことを先回りできたら感動していただけるかもしれません。

そのためには一人ひとりのお客様のことを知る必要があります。
よくお客様の好みはわかっていると聞くことがあります。

でもそれは自分が接した部分しか気づくことはありません。
それぞれの部門で気づいたお客様情報は、みんなで共有することが大切です。
電話を受けた段階で言われたこと、接客係だからこそ気づくこと、調理場が対応するべきアレルギー対策など一人のお客様に対する情報は沢山あります。

優秀なコンシェルジュがいることはとてもいいことですが、その人一人に頼ってはいけません。
スタッフが得た情報こそお店の資産であり、それを共有することで会社全体のレベルが上がります。

お客様は、自分が知らないスタッフが自分のことを知っていてくれたら、とてもいい気分になると思いませんか?
個人の記憶に頼らず、記録しましょう。
一度にたくさんの情報を記録する必要はありません。
気づいた時に少しずつ足していけばいいのです。

「料理は美味しいのに他が残念」などと言われないためにも心配りが大切です。
「痒い所に手が届く」のはいいですが、一人ひとり痒い所が違います。そしていつも痒いとは限りません。
「痒い所に痒い時だけ手が届く」としたら、きっとお客様はあなたに言われるままです。