顧客管理システム(CRM)選定のキーワードは?

顧客管理システム(CRM)選定のキーワードは?

手書き体質から脱却し、情報の共有化をするためにシステム導入の検討に入ったとします。
例えば「料亭顧客管理」で検索すると沢山のCRMが出てきます。どうやって選びますか?

まず使ってみる?
お試しもいいのですが、あまりに多くの中から選ぼうとすると膨大な時間と現場への負担が大きくなります。導入するかどうかわからないのに現場で使ってみてと言っても日々の業務に追われ作業の優先順位はさがりますよね。
いくつものCRMを試すのも大変なことです。

システム導入に対して何を期待するかを明確にし、ゴールがどこで、そこにたどり着くために優先されるのは何か。
どうも情報のインプットということに関して、誰かPCを扱える人が担当するべきと考える方の話をよく聞きますが、アウトプットは管理部門や経営層も見ることになります。
つまりIT部門が全てを担当するわけではないので、CRMの選定には他の部門の方にもしっかり関わってほしいということです。

そして手書きであろうとシステム化されていようと顧客管理だけで全てが機能するわけではありません。財務会計や仕入れ、勤怠管理など様々な仕組みが連携して運営が成り立つわけです。

そうするとどんなにCRMがよくても、他のサービスとの連携がスムーズにできないとそこで詰まってしまいます。
美味しい料理ができても運ぶ人がいないとか、お客様からの要望を的確に反映する仕組みがないと、どこかでネックになると宝の持ち腐れになってしまいます。

CRM選定で大切なのは、「柔軟性」です。
柔軟性とはシステムとして完璧に機能するというより、他の部門とどう連携するかを考えシステムをカスタマイズできることです。
どんなにパッケージとして優れていても、連携できないと良さを生かしきれません。

顧客が感じる「おもてなし」は料理だけではありません。
しつらえや接客、要望に対する満足度、予想を超える神対応など全てが評価の対象です。
アレルギーや嫌いな食材を外すことなど、当たり前に対応しますよね。

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組織内に抵抗勢力がいる場合

組織内に抵抗勢力がいる場合

顧客管理システムは、売上・利益を最大化を目指すために導入するツールですが、導入の成功を阻む一つの要因として組織内の抵抗勢力があります。

顧客満足向上のためであり、さらにはいかに顧客満足を超えられるかを考え、導入の目的を理解してもらうと現場の若手はほとんど抵抗なく使い始めます。

しかし、その前にアナログでやってきたマネージャーが一番抵抗を示すことがよくあります。
その時の反論としては、
「現場の負担にならないようにしてくれ」
「現場が納得してくれるツールにしてくれ」
「現場が使い易いツールにしてくれ」 です。

CRM導入はマネジメントの変革であり、従来からの属人的な仕組みから脱却する千載一遇のチャンスです。つまり、マネージャーには現状の課題を理解してもらい、あるべき姿の実現に向けてやり方を変えることが必要なのです。

「現場が受け入れてくれるツール」という発想は、現状のやり方は変えずにツールを入れ替えるだけで何かが楽になるというニュアンスを感じます。

分析するためのアウトプットは、インプットがなければ始まりません。
現場担当者が入力した情報が集まれば、CRMを使うだけで簡単に分析ができるはずなのに、それすらしようとしないマネージャーでは変革は難しいです。

今やスマホでメールを送るなど、文字を入力することに抵抗ある人は少なくなってきました。
当たり前のように使っている道具をCRMと合わせて利用するだけです。音声入力だってできる時代です。

台帳から手書き文字を探し出すことを考えれば、すぐに目的のお客様情報を検索できます。
そういう意味では現場も楽になるんです。
システムを稼働させる本質をしっかり理解することです。

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最もストレスを感じるのは顧客

最もストレスを感じるのは顧客

情報の共有化ができないと、どんどん属人化してしまいます。
またマネージャーの属人化は特に危険です。

例えば
・現場スタッフのサービスレベルのバラツキが大きい。
・安心して任せられる人材が育っていない。
・顧客に関する情報が断片的で担当者に聞かないとわからない。
・来店履歴として日時しか残っていない。

このような問題を抱えていた場合、あるマネージャーは現場に対し詳細の報告を求め、別のマネージャーは担当者に任せきりにすると、人の成長にもバラツキが出ます。
会社にとってあるべき習慣、価値観、判断基準を共有しないと何が起こるかを考えましょう。

「属人化させてはいけない情報」が属人化してしまい、顧客情報の引き継ぎに大きな問題へとつながります。
この時、大変なのは後を「引き継ぐ担当者」と思われるかもしれません。しかし、それは自社目線であり見方を変えれば、一番ストレスを感じるのは「顧客」なんです。

過去の注文内容やいろいろなワガママをきいてもらっていた担当者がいなくなり、また一から説明とお願いをすることになったら、言葉に出さなくてもストレスを感じると思いませんか?

これは来店されるお客様のことだけでなく、宴会の予約など営業を仕掛けたときでも同じです。
案件の受注確度が高まってから報告しようなどと思っていると、ロスしてしまうケースもあります。
こんな時、マネージャーのアドバイスや支援があれば契約をとれたかもしれません。

初期段階で報告をしていないと契約を逃したことだけでなく、「提案して受注できなかった」という事実も闇に葬られてしまいます。
問題は商談の成否だけでなく、顧客との会話や提案内容など全てが顧客のことを深く知る上で重要な情報になります。

個人が情報を握ってしまうのは、顧客にストレスを与え、さらには自社のチャンスロスを発生させ組織の成長まで阻害してしまう可能性が大いにあります。

外部システムとの連携がCRM(顧客管理)を選ぶポイント

外部システムとの連携がCRM(顧客管理)を選ぶポイント

顧客管理システムを住所録と勘違いせず、きちんと活用している企業のほとんどは何らかの形で基幹システムと連携して運用をしています。
売上実績や利益など正確な情報が存在する財務会計システムの実績情報を顧客情報と関連づけて見える化すると様々な分析結果が得られます。

しかし市場にあふれる顧客管理システムとしてのツールの中には安価なパッケージも多く、これらは基幹システムなどの外部システムとの連携ができないことがよくあります。

企業としてはITにかかる予算を少しでも抑えたいと思うあまり、安価で連携できないツールを導入してしまい、情報が分断されたバラバラのシステムにより結果的に活用できず顧客管理システムは役に立たないなどの判断をしてしまうことがあります。

パッケージとしてのCRMはいいとしても、外部システムとの連携ができず、それだけで完結してしまう場合はツール選定に問題があります。

顧客管理システム選定の際、そこにかかる費用を「コスト」ととらえず「投資」とみなして導入することが成功の鍵です。
CRMは販売管理や財務会計とは別の視点で分析するものです。
販売管理では自社商品の売れ筋などをランク付けしていても顧客の優先度や重要度を定義できません。

顧客ランクごとの売上・利益を把握するためには財務会計から実績情報を抽出して、その情報を加工する手間が発生します。このことに多くの企業が多大な時間をかけています。
この問題を解決するには基幹側だけでは限界があり、CRMとの連携ができれば自動的に加工する仕組みも合わせ持つことができます。

連携することで単に情報を見える化するだけでなく、結果を分析するための数値情報が揃うことで、よりCRMのメリットを感じることでしょう。

仕組みで情報格差をなくしましょう。

仕組みで情報格差をなくしましょう。

現場担当者と管理部門のマネージャーには少なからず情報格差があります。
お客様と直接コミニュケーションをとれる現場担当者は貴重な情報を持っていますが日報などではない、共有できる仕組みがないとほとんどの情報は担当者の頭の中に眠ってしまいます。

また別の観点から見れば、マネージャーは現場担当者からの報告がなければ、質問することでお客様の情報を得るしかありません。

本来マネージャーの仕事は顧客からのクレームや要望など様々な課題を解決することです。
そのために同じような問題が起きていないか、各担当者から集まる情報を共有することで適切な指示や対策を打ち、本来の役割を発揮できるようになります。

現場から集める情報をあらかじめカテゴリー分けしたチェックシートのように準備すれば担当者も気をつけるべきポイントがわかります。これがないと担当者の主観に依存してしまい、集まる情報からしか判断できないマネージャーとの間に情報の格差が生じてしまいます。

この格差が現場に対する的確な指示を出せず、的を得ないアドバイスになる可能性が高くなり、その結果担当者が「現場をわかっていない」などの不満を漏らす原因にもつながります。

今度は現場の不満を解消するために「現場の声を尊重しよう」として、マネージャーからは何も言えなくなってしまい、ますます管理部門と現場との溝を深めてしまうこともあります。

特に問題が起きたことや担当者にとって都合の悪いことなどは報告しにくいものです。しかし、それをしつこく聞き取りをしだすと、ごまかしたり、報告のために双方の貴重な時間が奪われることになりかねません。

これらは情報格差による悲劇ですが、企業文化として情報をオープンにする仕組みが不可欠であることを意味します。その仕組みこそが顧客管理システム(CRM)です。
CRMを活用すれば、重要な情報を蓄積し共有することが日常となり、スタッフみんなの意識も変わります。

CRMの導入は業務改善を含めた企業文化の改革でもあります。必ず実行することで成功が訪れることを確信してください。

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